同じ夢を2度見た

誰かの作品を見に行く、それは美術作品のようでもあるしそうでないようにも見える。
同じどこか知らない学校の校庭の端っこの林の中、
たくさんの家財道具が一列に布にくるまれて、土を盛られてこんもりと埋められている、
その向こうには森林が広がりまるでそこから先には立ち入るなといっているようにも見える、
その上にいくつもの古びた透明な引き出しが並び、中には旅の途中で作者が見聞きしたと思われる
白黒のスケッチがたくさん入っている、
その絵がなんとも不思議なタッチで、すごくリアルなんだけどどこにも個性が見当たらないというか、それが人であったり、駅や、電車であることはわかるのだがどこなのか、誰なのかというものはまったくわからない、しかしその描かれたものに対する鋭い感情だけがしっかりと伝わってくる、
しばらく見ているとぱらぱら漫画のようにストーリー仕立てになっていることがわかる。
不思議な(とてもユーモラスな)擬音が聞こえてくる。


その内容は思い出そうとすればするほど記憶が遠くへ逃げていく。


視力よりも嗅覚や聴覚がどんどん発達していくような感覚を覚えていて、
その絵は人間が描いたものではないのかもしれないというようにも思えてくる、
ページをめくるたびに目がどんどん見えなくなる気分になり、匂いや、音に対する物語が強く思い描かれるのが心地よい。


2度目に同じ場所の夢を見たとき、整然と一列に並んだ家財道具の上には高く杉の木が伸びていた、
確か寒い場所の杉の木は倒木の上に芽を出し、その栄養を元に伸びていくというような話を思い出す。