ふと


絵を夢中で描いていると
時々、何かを思い出しそうになる
 
そしてその向こう側でも、何かを思い
こちらを気にしているような気がする
 
目で見えるものがずっと簡単になって
何かが産まれる前の独特な空気
手は紙の大きさを疎めしく思う
紙は乗せられた色をくすぐったく思う
机が、背中でその成り行きをはかっている 
手も紙も机も
どこかできっかけさえ合えば、走り出してもいいと思っている
 
それはもしかしたらこんなことかもしれない
あんなことかもしれない、と
いつもの自分のできることとは違う動きで目の前の紙やペンや机をさそってみる